外壁塗装の前に「景観法」をチェックしよう！
新築を購入する際「どのような外観にするか」と胸を期待で膨らませる人は多いことでしょう。しかし、地域によっては「景観法」により、外壁の色に制限がかかっていることがあります。もし景観法がある土地に住まう場合は、その内容のチェックが欠かせません。本記事では、外壁塗装と景観法に焦点を当てて解説をします。
そもそも景観法とは？
外壁塗装を行う際に「自分の好みに合わせたカラーにしたい」と考える人が多いですが、注意しなければならないのが「景観法」です。景観法とは、平成16年6月に施行された法律です。地域ごとのまちづくりの一環として設けられており、地域の景観や街並みを保つことを目的としています。
対象となるのは建物の外観の色だけでなく、高さやデザイン、屋外広告物のデザインにまで及ぶことがあります。とくに観光地や歴史的建造物が存在するエリアでは、周囲の景観に影響を与えるような原色（赤・紫・青など）を使った外壁塗装は制限されていることが多いです。
派手な色彩を選ぶと、地域の景観を損なうとしてトラブルになる可能性もあります。最悪の場合、景観法に違反しているとして塗装のやり直しを命じられることもあります。ただし、実際にやり直しを命じられる事例は少ないのが現状です。景観法は全国一律のルールではなく、市区町村単位で定められているため「○○市景観計画」「○○区景観条例」など、地域ごとに名称や内容が異なります。
外壁塗装を検討する際には、まず自分が住んでいる地域にこのような条例や計画があるかどうかを確認することが大切です。計画の内容を知らずに工事を進めてしまうと、思わぬトラブルや費用が発生する可能性もあります。現在、塗装費用の値上げが予想される中、外壁塗装を急いで検討する人が増えています。
しかし、景観法の確認は必ず事前に行い、安心・安全なリフォーム計画を立てることも重要です。
吹田市景観まちづくり条例について紹介
ここからは、吹田市の景観法にまつわる情報を詳しく見ていきましょう。吹田市では、地域の個性や魅力を活かした美しいまちづくりを目指し「吹田市景観まちづくり条例」に基づいた景観形成制度を整備しています。
これは、景観法を基本としつつ、地域ごとの特性に応じた柔軟な景観保全・形成を図るための制度です。以下では、条例の概要と主要な制度の構成について説明します。
景観計画区域
まず、吹田市全域が「景観計画区域」として指定されています。これは景観法に基づいて策定された計画区域で、一定規模以上の建築物（例：マンションなど）や外壁の塗り替え、擁壁（ようへき）などの工作物の設置、土地の開発行為などを行う際には、事前に市との協議や届出が必要となります。
こうした取り組みにより、市全体の景観が秩序を保ちながら形成・保全されるように配慮されています。
景観形成地区
次に「景観形成地区」は、現に良好な住宅地景観を有する地域、あるいは住宅地として今後景観を整えていく必要がある地域を対象として指定されます。指定されると、たとえ小規模な増築や小さな看板の設置であっても、市への届出が義務づけられます。
この地区では、建物の大きさや形、植栽のあり方など地域の特性に合わせた詳細な景観形成基準を設けることができるため、よりていねいな景観管理が可能となります。
景観配慮地区
「景観配慮地区」もまた、景観上良好な特性を持つ地域、あるいは景観への特別な配慮が必要と認められる地域に指定されるものです。この地区では、一般的な景観基準に加えて、地域特有の基準が設けられ、それに基づいた指導や誘導が行われます。
これにより、景観の保全や美観向上に対してきめ細かい対応が可能になります。
景観協定
さらに「景観協定」は、地域住民が自主的に定める景観のルールであり、建物の色彩や形態、植栽などに関する独自の規定を設けることができます。地域住民同士がじっくりと話し合いを行い、合意形成を図ることで、その地域ならではの個性的な景観を維持・発展させていくことができます。
協定を結ぶことで地域の意識も高まり、協調の取れた美しいまちづくりができるようになるでしょう。
景観重要建造物・景観重要樹木
また「景観重要建造物」や「景観重要樹木」に指定されるものは、道路や公共の場所から見える位置にあり、地域の景観にとって重要と認められる建物や樹木です。これらは所有者の意見を尊重したうえで指定され、指定後は増築や色の変更、樹木の移植などの外観の変更を行う際に市への届出が必要になります。
加えて、景観整備機構との管理協定を結んだり、支援制度を活用したりすることも可能です。
まとめ
外壁塗装を検討する際には、見た目の美しさだけでなく「景観法」の存在にも注意が必要です。とくに吹田市では、市全域を景観計画区域に指定し、地域の個性や調和を守るためのルールを細かく定めています。建物の色やデザイン、増改築などにも届出が必要になることがあり、知らずに工事を進めるとトラブルや費用の発生につながるおそれもあります。自分の住む地域のルールを事前に確認することで、安心・安全で満足のいくリフォームを実現しましょう。
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