アクリル塗料とは?特徴とメリット・デメリット

外壁塗装に用いられる塗料には、アクリル、シリコン、ウレタンなどさまざまな種類があります。それぞれに異なる特徴があり、自身のニーズに合った塗料を選ぶには知識が必要です。今回は、数ある塗料の中でもアクリル塗料について深掘りして解説をします。外壁塗装に使う塗料選びで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
アクリル塗料とは
アクリル塗料とは、アクリル樹脂を主成分とする塗料で、1950年頃から開発・製造が開始されました。当時は鮮やかな発色が可能な革新的な塗料として、広く普及しました。しかし、その後ウレタン樹脂やシリコン樹脂などより高性能な塗料が登場したことで、現在ではアクリル塗料の需要は減少しています。
それでもなお安価(1,200〜1,800円/㎡)で入手しやすく、カラーバリエーションが豊富で扱いやすいことから、DIYや簡易な用途では人気が高いです。また、使用目的や施工場所によってはアクリル塗料の特性が適している場合もあります。
他の塗料との違い
他の塗料と比較すると、各樹脂ごとに性能や価格、耐用年数に違いがあります。ウレタン塗料はウレタン樹脂を主成分とし、密着性や弾力性に優れているため、以前は外壁塗装の主流でした。現在も多用途に使用されており、耐用年数は8〜10年、費用は1,800〜2,200円/㎡程度です。
また、ウレタン防水工事では、施工場所の形状を問わず対応できる柔軟性が評価されています。シリコン塗料はアクリルシリコン樹脂が主成分で、コストパフォーマンスに優れており、現在は外壁塗装に最も多く使用されています。
耐用年数は10〜15年、費用は2,500〜3,200円/㎡程度です。フッ素塗料はフッ素樹脂を使い、耐久性においてはトップクラスで15〜20年と長寿命ですが、価格が高く一般住宅にはあまり普及していません。費用は3,500〜4,500円/㎡程度です。
さらに、無機塗料は鉱物などの無機物を有機樹脂と組み合わせたハイブリッド塗料で、フッ素樹脂配合タイプは18〜22年の耐用年数を誇ります。
アクリル塗料のメリット・デメリット
アクリル塗料には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。以下で、それらについて詳しく見ていきましょう。
メリット
まず、アクリル塗料の最大のメリットは費用の安さです。前述した通り他の塗料と比べて圧倒的に低価格で、相場としては1,200〜1,800円/㎡程度と非常に手ごろです。この価格帯は、短期間で塗り替えが必要な建物や、外観を定期的にリフレッシュしたい店舗などに最適といえます。
さらに、家を数年以内に売却する予定がある場合には、コストを抑えて外観の印象を良くするという意味で、アクリル塗料は非常に合理的な選択といえるでしょう。次に、カラーバリエーションや種類の豊富さも大きな魅力です。アクリル塗料は発色が非常に良く、色数も豊富に揃っているため、外壁や内装に好みの色を反映させたい場合にも適しています。
また、長年にわたって使用されてきた実績があることからさまざまなメーカーから多様な製品が販売されており、選択肢の幅が広いという点も特徴です。さらに、使いやすさもアクリル塗料の大きな利点です。多くの製品が1液型であるため、混合の手間がなく、DIY初心者でも扱いやすい仕様になっています。
旧塗膜がアクリル塗料である場合には、シーラーを使わずにそのまま重ね塗りが可能な製品もあるため、施工の手間や時間を大きく削減することができます。ただし、塗膜が著しく劣化している場合には注意が必要で、適切な下地処理を行わなければ十分な仕上がりは期待できません。
デメリット
デメリットとしては、紫外線への弱さが真っ先に挙げられます。アクリル塗料は紫外線の影響を受けやすく、塗膜内でラジカルが発生しやすいため、塗膜の構造が早期に破壊されてしまいます。その結果として、数年で光沢が失われ、色あせや変色が目立つようになりやすいです。
さらに劣化が進行すると、防水性や保護機能などの塗料本来の性能が十分に発揮されなくなります。また、塗膜の硬さとひび割れのリスクもデメリットの1つです。アクリル塗料に使われるアクリル樹脂は常温で硬く、柔軟性を持たせるために可塑剤が添加されています。
しかし、この可塑剤は紫外線により徐々に分解・蒸発し、3〜5年で効果を失います。すると塗膜の柔軟性が失われ、外壁や素材の動きに対応できなくなり、ひび割れが生じる可能性が高まってしまうのです。
加えて、塗り替えサイクルの短さも大きな課題です。アクリル塗料の耐用年数はおおよそ5〜7年とされており、他の塗料と比べて短命です。初期費用が安くても定期的に塗り替えが必要となるため、長期的に見るとライフサイクルコストは決して安く済むとは限りません。
10年以上の長期的な視点で建物のメンテナンスを考える場合には、他の高耐久塗料を選ぶ方が経済的に優れる可能性があります。
まとめ
アクリル塗料は、コストパフォーマンスと扱いやすさに優れた塗料で、DIYや短期的な外壁リフレッシュに適しています。発色の良さと豊富なカラーバリエーションも魅力で、個性的な外観を演出したい場合にもぴったりです。初期費用が抑えられるため、数年内に家を売却する予定がある人にもおすすめできます。ただし、紫外線に弱く耐久性は5〜7年と短めで、ひび割れや色あせが起こりやすい点には注意が必要です。塗料選びでは、コストだけでなく用途や将来的なメンテナンスも踏まえて検討することが大切です。
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